卒業生へのインタビュー卒業後は経営者として活躍する 前田さんが考える、 データ分析や経済学を学ぶ意義とは?

関西学院大学経済学部卒 前田 慶士郎さん

関西学院中高を経て関西学院大学経済学部を卒業。高校時代は、写真部や数理科学部に所属し学友会長を務めた。大学での専攻はゲーム理論と社会的意思決定論。2021年、最先端のUIを研究・開発するBridge UI株式会社を学友と共同創業、代表取締役に就任した。また、長年続く家業の後継者としても活動しており、最先端のIT企業×事業承継に取り組んでいる。好きな言葉は「Ready, Fire, Aim」。趣味はフィットネス・ドリップコーヒー・オープンカー。U25関西若手起業家ピッチコンテスト受賞、U-22プログラミングコンテスト受賞など他複数受賞。
関西学院大学経済学部に、データ分析についても学べるプログラムが新設されますね。

とはいえ、データ分析について学ぶことがどのくらい重要であるか、これからにどのように役立つのか、イメージがつきにくい方も多いのではないでしょうか。

今回は、自らの経営する会社でもデータ分析を大いに活用している、関西学院大学経済学部の卒業生・前田慶士郎さんに、データ分析についてはもちろん、経済学を学ぶ意義についてもお話を伺いました。

“科学的なアプローチ”で顧客の課題を解決する

まずはじめに、前田さんの会社やお仕事の内容を教えていただけますか?
私はBridge UI 株式会社という会社で代表取締役を務めています。大きくはIT業界に属する会社になります。

具体的には、自社開発のプロダクトを提供したり、他社から依頼されたシステムを製作したり、クライアントの抱える課題に対して一緒に解決策を考えたりしています。

このような会社はたくさんあると思うのですが、弊社の強みは科学的なアプローチを採用しているところです。身体の生体情報を読み取り、ストレスなどの情報を数字に変換することで、その「データ」をもとに提案内容や解決策を導いています。
科学的なアプローチ!かっこいいですね。
具体的には、どのような依頼を受けているんでしょうか。
例えば、アプリケーションを開発・運用している会社の方が、そのアプリをよりお客様(ユーザー)に快適にお使いいただくにはどうすればよいか、そのアップデートのお手伝いなどをしています。

例えばターゲットにしているお客様が、どのようなデザインだと使っていて快適に感じるのか、データをもとに検証し、アップデート内容を提案しています。
何事もデータ分析がベースになっているんですね!

「データ」を活用する重要性

前田さんの会社ではデータの活用がベースとなっているとのことですが、仕事において、データを活用する重要性はどのようなときに感じますか?
仕事というのは、データの活用がほぼ全てを占めていると言っても過言ではありません(笑)。というのも、データを分析してこそ解決策や提案内容が見えてくるからです。

またこれは弊社に限ったことではないと思います。例えば一般的な営業活動や商談においても、提案内容にデータを交えると説得力が生まれます。何が良いのか、現状がどうなのか、数字で提示することができればお互いに納得した状態で話を進めることができます。もちろんそれだけではないのですが、データの活用はどんなときにも1つの切り札となります。
なるほど…!ちなみに、データを活用する面白さについても聞いていいですか?
面白さというよりは魅力というほうが近いかもしれませんね。数字は良くも悪くも感情などを排除して事実を淡々と伝えられる点が特徴だと思っています。

そのデータを活用することで、自分の思い込みが一人歩きすることを防いでくれたり、自信が無い時もデータが根拠となってくれることで施策の後押しをしてくれたり、データの活用が適切な判断を助けてくれます。そこがデータの魅力であり、面白いところかなと。
逆に、データを活用する難しさややりがいなどもあったりしますか?
データを活用する際に気をつけないといけないのは、そのデータが事実の一側面でしかないということを前提にしておく必要があることです。データは事実を淡々と見せてくれますが、見えるのはあくまで数字だけで、それまでの過程や因果関係などは自分で推測する必要があるからです。

また無闇にデータを信頼することも危険です。データ自体の信頼性も、検証を重ねることでしか実際はわかりません。全面的にその数字だけを信頼することもできないため、どう活用するかを見極め、多角的に物事を考える必要があるところがデータ分析・データ活用の難しいところだと日々痛感しています。
なるほど…。だからこそ、データの活用の仕方は学ぶ必要がありそうですね。

データ分析も学べる関西学院大学経済学部

前田さんが大学生活を送られた関西学院大学の経済学部で、データ分析を学べるプログラムが新設されますよね。
とても実利のあるプログラムだと思います。経済学は社会科学のなかでもベースとなりうる学問で、社会構造や仕組みなど基本的なことを学べるのはもちろんなのです。一方で、商学や国際学などと比べると実際にどのように生活や仕事と結びつくのかがイメージしにくいかもしれません。

そうした学問でありながらも、データ分析プログラムを通してより実践的なことも学ぶことができれば、経済学が社会に対してどのように応用できるのか、どのように貢献できるのか、そのイメージをつけやすくなると思います。
データ分析という切り口から、経済学部で勉強していることへの理解をより深められそうですね!

データ分析は、実生活でも、社会でも求められる

前田さんは、データ分析を勉強することが実生活や社会とどのように結びついていると考えられますか?
経済学において大切な考え方に、理論と実証という2つの見方があります。知識や法則といったこと(=理論)も、実際にやってみると(=実証)、結果や解釈は異なってくるという考え方です。その2つのどちらも取り入れてこそ、より適切な結論を導き出すことができます。

そしてデータ分析は、その「理論」と「実証」の要素を融合させたアプローチといえます。まず理論や仮説などがあって、それに基づいた実証結果がデータとなります。データ分析は、それらをわかりやすく整理し、適切に捉えるうえでとても重要になってきます。
例えば、どのような活用の仕方が考えられそうですか?
そうですね…。例えば、2つのガソリンスタンドがあったとして、それぞれが提供しているガソリンの値段が異なっていたとします。
高い方には潤滑剤が入っているため燃費が良さそうです。しかしお客さんにそれを伝えるためには、根拠を持って宣伝しなければなりません。なぜなら潤滑剤が入っているというのは、燃費を良くする方法であって、燃費が良くなったわけでは無いからです。そこで登場するのがデータ分析です。人それぞれ運転の仕方に違いがあるので燃費も色々ですが、正しく分析すれば統計的に違いがあるのか調べることができます。お客さんも安心して購入できますし、例えば大量に燃料を消費する物流の会社に新たに取り入れてもらえるかもしれません。
確かに色々な形で応用できそうですね!

前田さんが考える、経済学を学ぶ意義

最後に、経済学部の受験を考えている高校生にメッセージがあればお願いしたいです!
先ほどもお伝えしたのですが、経済学は社会科学の中で最もベースとなる理論です。もちろん実践的なことを勉強することも大切なのですが、ケーススタディや解決事例などを多く知っていたとしても、それだけでは対応できないことが世の中にはたくさんあります。

世界では現在も、新型コロナウイルスやロシア・ウクライナの情勢など、歴史を勉強するだけでは予測できない新たな課題が日々起こっています。そうした、今までに例を見ない問題が起こったときに、根本的な基礎学問を身につけていることはとても強みになります。

そして、世の中のソリューションのベースとなっているものを紐解いていくと、多くの物事が経済学と関係しています。何にでも応用できる学問を勉強しておくと、どんなことがあっても乗り越えられますし、そういった意味で経済学はいつか必ず役にたつ学問だと思います。なのでどんな方にも、経済学を勉強することはおすすめしたいです。
実際に仕事でも大いに活かされている前田さんだからこそ、とても説得力があります。お話ありがとうございました!

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経済学部で学んだことを、仕事を通して社会のために応用し続けている前田さん。

経営者としてもそのことを実感されていることが、お話から伝わってきました。

すべての基礎となる「経済学」を理解しているからこそ、データ分析をより効果的に用いることができるように、

大学で勉強できることは、何かしら今後の人生で役立つことが多いと思います。

経済がなくては成り立たない社会のなかで生きる私たちだからこそ、「経済学」はその機会がより多いのかもしれません。